Archive for 7月, 2012

酵素が原因で がん細胞が増殖・転移する

木曜日, 7月 12th, 2012 | Permalink

がん細胞の転移に大きな役割を果たす酵素が特定された。

発見・特定された酵素は、「ADAM28」。 ADAM28は肺がん中の細胞などで強く働いている酵素で、 ADAM28が血液中のVWFという分子を分解する。その結果、がん細胞はこのVWF分子が引き起こすはずの細胞死を免れ、自然死(アポトーシス)しないことが確認された。 がん細胞は通常、血管に入るとほとんどが死滅するが、一部のがん細胞が生き残ってしまうことが原因となって、他の臓器にがん転移していた。

マウスによる実証実験では、酵素ADAM28の働きを阻害すると、がんの転移を抑制できることが確認できた。この発見から、がんの増殖/転移を抑制できる有望な抗がん剤の開発が期待される。

当該研究の成果は、慶応大医学部の研究チームが米国立がん研究所雑誌へ発表した。

抗がん剤は対象外の副作用被害救済制度

水曜日, 7月 11th, 2012 | Permalink

抗がん剤の副作用被害に対する公的な救済制度の創設が先送りとなる可能性が高まっている。

抗がん剤の副作用被害救済制度」は、抗がん剤イレッサの副作用で被害を受けた患者遺族の訴訟を通じて、患者側から要望され、かつ、裁判所の和解勧告を拒んだ際に国が制度創設の検討を表明していた。

抗がん剤以外の医薬品に対しては、薬害・副作用で重い障害を負ったり死亡したりした場合に、医療費などが支払われる公的な制度があるが、 抗がん剤は対象外であったために、別の救済制度の創設が強く要望されていたものだ。

しかし、重い副作用が高い確率で起きることを前提として投与する抗がん剤に対して、制度の創設は難題が多く指摘された。「制度設計を急ぐと、かえってがん医療を委縮させてしまう」という慎重論は、国と製薬会社側の論理であり、とてもがん患者側の心情を汲んだものではない。

最低限でも「継続検討」として、早期の制度創設が期待される。