Archive for 7月, 2012

高分子ポリマーカプセル封入の抗がん剤新薬が最終治験開始

木曜日, 7月 19th, 2012 | Permalink

乳がん、非小細胞肺がん卵巣がん、胃がん治療用の抗がん剤新薬「NK105」が、転移・再発乳がんを対象に実用化の最終段階である第III相比較臨床試験を開始した。

既存の卵巣がんや非小細胞肺がん、乳がん、胃がんの治療向け抗がん剤 「パクリタキセル」が世界的に普及しているが、抗がん剤自体の副作用だけでなく、製剤化の際に使うアルコールを基にした特殊な溶媒が原因の副作用も生じる欠点があった。

新開発の抗がん剤新薬「NK105」は、「パクリタキセル」を高分子ポリマーのカプセルに封入したミセル化ナノ粒子製剤であるため、課題であった副作用が大幅に軽減できる特徴がある。

乳がん向けの新薬として承認後は、卵巣がん、肺がん、胃がんへの新薬申請・承認も順次に実施される見込みだ。

肺腺がん発症遺伝子の新発見から進展

水曜日, 7月 18th, 2012 | Permalink

肺がん患者の大部分を締める肺腺がんの発症に関わる2種類の遺伝子が新たに発見された。過去の調査でも2種類の肺腺がん発症遺伝子が発見されており、今回で発見された肺腺がん遺伝子は合計4種類となった。

発見したのは、国立がん研究センターと理化学研究所のグループ。約2万人を対象としたゲノム(全遺伝情報)解析で導き出した。

ゲノム解析の実施対象となったのは、日本人の肺腺がん患者6029人と発症していない1万3535人。その結果、すでに発見されている2遺伝子以外にも、「BPTF」と「BTNL2」という遺伝子領域で肺腺がん患者に特徴的な塩基配列が見つかったのだ。 BPTFは細胞のDNAの複写機構に、BTNL2は免疫の制御機構に関わる遺伝子として知られている。

肺がんの一種である肺腺がんの発症には、喫煙以外に遺伝的な要因が深く関与しているとされており、肺腺がんの原因解明へ期待が大きかった。 がんの原因となる遺伝子が特定されたことで、遺伝子標的薬の開発が進展し、肺腺がん特効薬が開発される可能性が高まってくるだろう。