Archive for 7月, 2012

新開発ペプチドで効果の高い新治療法へ

水曜日, 7月 18th, 2012 | Permalink

副作用の少なく、がん細胞だけに効く抗がん剤新薬へ、大きな発見がなされた。

開発されたのは、がん細胞だけに吸収される物質「CPP44」。 CPPはペプチドの一種だが、従来のペプチドは、がん細胞、正常細胞の区別無く染み込む性質だった。しかし、新開発されたCPP44ペプチドは、肝臓がんと白血病のがん細胞にのみ大量に吸収される性質を持つ。肝臓がん白血病以外の細胞にはほとんど吸収されないのだ。このような性質のペプチドが人工的に作られたのは世界で初めて、この性質を抗がん剤へ流用することで、副作用を低減し、効果を画期的に高められる期待が高まっている。

実施されたマウス実験では、腫瘍の大きさが半分以下になるの成果が確認された。

これまでは、副作用の多寡が抗がん剤の最大の問題だったが、このペプチドを活用するできれば、がん細胞にだけ効果のある抗がん剤の開発が可能になる

つまり、副作用が少なく、効果の高い新しい抗がん剤が続々と開発されうるのだ。

がん細胞だけに効くペプチドを世界で初めて開発したのは、愛知県がんセンター研究所と琉球大の研究グループ。論文は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

がん細胞の栄養遮断で がん増殖抑制する新治療法

火曜日, 7月 17th, 2012 | Permalink

がん患者の体内に活性酸素を過剰に蓄積させて、がん細胞の増殖を抑制する新しいがん治療法が開発された。

新しいがん治療法として注目されているのは、活性酸素の毒性を逆手に取り、目的の部位だけに活性酸素を蓄積させることでがん細胞の増殖を防ぐ治療法。

通常では、活性酸素の蓄積は細胞の老化などを引き起こすため、体内には活性酸素を取り除く仕組みがある。一方で、がんの増殖にはがん細胞へ栄養を供給する新生血管が関与していることが知られている。この新生血管では活性酸素を消去する役割を果たす「毛細血管拡張性肉芽腫変異(Atm)遺伝子」が活発に働いていることを発見したのだ。そして、Atm遺伝子の活性化を阻害すれば、新生血管に活性酸素を蓄積させ、がん細胞への栄養を遮断するがん増殖抑制法とできる。

新治療法では、がん細胞に酸素や栄養を供給する新たな血管網(新生血管)を維持できないよう遺伝子操作した。既にマウス実験では 新治療法によるがん増殖の抑制に成功している。

新治療法を開発したのは、慶応大医学部で、米科学誌ネイチャー・メディシンへ発表した。

この研究チームは遺伝子操作と同じ効果がある化合物の開発に取り組んでおり、成功すればがん組織だけ退治する副作用の少ない新薬ができると期待されている。