Archive for 6月, 2012

転移乳がんに画期的な抗がん剤新薬

木曜日, 6月 14th, 2012 | Permalink

転移乳がんの抗がん剤新薬の治験が最終段階で良好な治療結果が報告された。

乳がんの抗がん剤新薬は、trastuzumab emtansine(T-DM1)。 T-DM1は、分子標的薬のトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)と細胞毒性薬のemtansine (DM1)から成る複合体で、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受ける前に必要な最終段階(第3相試験)にある。

T-DM1を使用すると、標準療法よりも生存期間が改善されるとの研究報告が発表されたのだ。

米デューク癌研究所が実施さいた治験は、 1,000人近くの乳がん患者に下記のいずれかによる治療を行った。
T-DM1:ラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)と細胞毒性薬のemtansine (DM1)から成る複合体の新薬
XL:カペシタビン(商品名:ゼローダ)とラパチニブ(商品名:タイケルブ)

HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陽性乳癌(がん)患者を治療するためにデザインされた米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で発表された。

治験開始の2年後、T-DM1群では65.4%、XL群では47.5%が生存していた。無増悪生存期間(PFS)中央値はT-DM1群が9.6カ月、XL群が6.4カ月であり、 T-DM1は、HER2過剰発現が確認された転移乳癌に対して有効な承認済みの治療法よりも有意に優れていると結論された。

なお、血小板数減少などいくつかの副作用はT-DM1群に多くみられたが、 XL群の方が、下痢,胃のむかつきおよび発赤、手掌および足裏の腫張および疼痛の発現率が高かった。

乳がん新薬T-DM1は、用量制限が必要な毒性がほぼ皆無で、転移乳癌患者にとっては画期的な抗がん剤新薬として期待されている。

声帯がん早期発見法と術後の声帯再生

水曜日, 6月 13th, 2012 | Permalink

声帯がんを内視鏡下手術で声帯を切除すると、強い音声障害が残ることが多い。

しかし、声帯の上側に位置する「仮声帯(かせいたい)」を用いた新たな再生法により、仮声帯が声帯の代わりになる治療法もある。また、頬の脂肪を用いた注入による声帯再生を行うことも可能だ。

早期の声帯がんは、他のがんと同様に症状が軽微で、診断も難しいことが問題だった。そこで開発されたのが、「ストロボスコープ」による声帯がん診断法。「ストロボスコープ」では、瞬間ごとに発光する光源を利用して声帯の動きを見ることができる。1秒間に100~1000回の超高速震動の声帯が、スローモーションのようにゆっくりと映し出され、その動きの変化によって約9割に対して声帯がんか否かの診断が容易に可能になった。

さらに特殊な光源を用いた「NBI」という診断法を取り入れると、組織や血管が鮮明に浮かび上がるために声帯がんの発見は確実となる。。ストロボスコープとNBIを組み合わせることで、前がん病変などの小さながん(腫瘍)を早期がんの状態で発見するべく、研究が進められている。