Archive for 5月, 2012

スキルス胃がんの大手術と4年後

金曜日, 5月 25th, 2012 | Permalink

胃がんは、長らく日本人の死因の上位に位置してきたが、最近は以前に比べて死亡率が大幅に減少している。

早期診断、早期治療の普及に加え、胃がんの最大の原因とされるピロリ菌の検査・駆除が進展したからだ。それでも、胃がんの発生は少ないわけではなく、胃がんを発症すれば命の保証はない。胃がんの中でも最も治療が困難な「スキルス胃がん」(ステルスではない!)から生還した30代男性の体験談。

胃がんの発見は偶然が重なった。

付き合いで酒を飲むことが多い上にプライベートでもほぼ毎日飲んでいた。学生時代からタバコも継続していたため、がんを発病する因子は揃っていたと言える。

少々飲み過ぎた時期があり、胃のもたれや痛みを感じるようになり会社の先輩に相談すると、胃カメラ検査を強く勧められた。その先輩は胃がんのために20代で逝った友人がいたのだ。

現在の胃がん検査は、無痛検査なら苦しまずに受けられるのは驚きだった。胃カメラは口から入れるタイプとは別に、鼻から入れる胃カメラが開発され、検査の負担は格段に緩やかになっているのだ。

そして、その検査で胃がんが見つかった。しかも「スキルス胃がん」。スキルス胃がんは、胃がんの中でも非常に治療成績の悪いタイプのがんなのだ。

ネットでも調べるも、スキルス胃がんの治療の困難さに愕然とし、一度は諦めかけた。しかし、検査をした医師の紹介で大学病院に行き、かなり大規模な手術で切除して助かることができたのだ。

当の執刀医さえも、運の良さを繰り返し強調するばかり。執刀医の手術の技術以上に、胃カメラで早期発見してくれた医師の眼力が感心されたという。

スキルス胃がんの大手術から4年が経過するも、がんの再発・転移ななく、予後は順調。

いくつかタイプのある胃がんの中でもスキルス胃がんの予後の悪さ=治療の難しさ=は突出しているのだが、早期に検査を受け、早期に適切な手術を受けたことが、スキルス胃がんの克服に繋がったと言える。

血便などの明らかな症状が出てからでは、「手遅れう」の可能性がある。喫煙や飲酒などのがリスクを自認しているなら、さらに気になる症状がある時には、年齢に関係なく、一日も早い検査が命を救うのだ。

がん治療費に使える金額と必要な金額の相違

火曜日, 5月 22nd, 2012 | Permalink

「がん」の治療費に関わる意識調査の結果が発表された。

全体の6割の人が自身ががんを発症した場合に「保険金なども含めて治療費としては100万円以上は使えない」と答えている。この傾向は、世代・性別の属性別でも、総じて6割と変わらない。概算平均額で見るとがん治療費に使える総額の平均は130万円程度。やはり高齢層の方ががん治療に使える金額は多い傾向がある。

心臓病や脳血管疾患の治療法が進んだことから、間違いなく日本人の死因第一位となった「がん」。 がん治療には保険適用外の先進医療なども合わせ、多種多様な、そして比較的長い(とはいえ最近では平均入院日数は30日を切っている)治療を要するようになる。自然とその治療費は高額となる傾向があるものの、多くの人が「がんの平均治療費は100万円である」と聞くと「高い」と感じるようである。

がん」を発症した場合、保険金も合わせていくらまで使う事ができるか、という問いには、 6割の人が「50万円未満」「50~100万円未満」の領域に留まっていおり、現状では「100万円以上は少々難しい」というのが現実なのだ。

しかし先進医療などで、陽子線治療、重量子線治療 等を受けるには300万円以上、 免疫細胞療法で150万円前後、サプリメント療法でも月額数万円の治療費が必要となる。お金が無いゆえに、満足な、最先端のがん治療が受けられない「がん難民」の潜在率は6割近くに達していることになる。

米国では富裕層ほどに、先進医療に加え、サプリメントなどと組み合わせた混合医療の取組が顕著で、貧困ががんでの死亡を更に引き寄せる原因となっている。

日本が世界に誇れる唯一の社会制度「国民皆保険」の先進医療への承認が待望される。