Archive for 4月, 2012

肺がん新薬の作用と効果

水曜日, 4月 4th, 2012 | Permalink

肺がん新薬の製造販売が国内で承認された。

新薬は、2007年に発見された肺がんの原因遺伝子「EML4-ALK」を攻撃する、いわゆる分子標的薬だ。新しく承認されたのは、新治療薬「ザーコリ」(一般名クリゾチニブでファイザーから販売)。この新薬は、消化器がんの治療薬として開発されていたが、肺がんの原因遺伝子「EML4-ALK」に作用することが判明したために、抗がん対象を肺がん へ変更して、治験に成功した。厚生労働省が2012年3月30日に新薬として承認。

肺がん新薬 ザーコリ(一般名クリゾチニブ)は、 「EML4-ALK」を持つ患者の約90%に顕著な効果があったとされる。まさに、肺がん特効薬と言える著効をもたらすこの肺がん新薬は、原因遺伝子EML4-ALKを持つ患者に対しては、今後10年で全世界で50~60万人の命を救うと予測されている。 ただし、分子標的薬の常として薬の攻撃対象となる原因遺伝子を持ったがん患者には高い効果があるが、 原因遺伝子の無いがん患者には副作用のみで効果は皆無なのだ。その点は、新薬による治療前に遺伝子検査を実施することで、適用の有無を事前確認し、無用の治療と副作用を回避することができる。

多くのがんに特定の原因遺伝子が続々と発見されている。数年後にはその原因遺伝子を叩く分子標的薬=がん特効薬が開発される期待は大きいのだ。

すい臓がん手術と合併症

水曜日, 4月 4th, 2012 | Permalink

「膵臓がん」は、国内で年間2万8000人以上の命を奪っている。胃や大腸などの他の臓器と違い、腫瘍の発見が遅れがちで、また悪性度が高いため最も治療が困難ながんなのだ。

一般的に膵臓がん診断後の手術適用は2割程度。その手術も、膵臓が他臓器や太い血管と神経に隣接しているため非常に難易度が高い。一歩間違えば患者は術中に命を落とし、一見うまくいったかに見えた術後にも激しい下痢や栄養不良に悩まされるといったことも起こる。膵がん患者の命とQOL(生活の質)を確保することは非常に困難なのだ。

膵臓がんは、診断された時点で局所に がん が留まっていることが少なく、他臓器へ転移しているゆえに、いわば全身病なのだ。しかも、膵臓がんには有効な抗がん剤が少なく、また他のがんで効果のある分子標的薬も、有望な新薬はまだ登場していない。

さらに、がん患者が高齢で合併症を持つ症例も多いため、さらに難易度は高まってしまう。
大腸がんなどによる転移性肝がんや原発性肝がん、胆管がん、胆嚢がんの手術も積極的に行っている経験ある病院・医師による治療が重要でなのだ。