生活習慣改善でがんリスク低下
国立がん研究センターが生活習慣とがん発生率との関連を大規模に調査したところ、生活習慣を少しでも見直すと、がんが発生するリスクが明確に低下することが証明された。
がんリスクを低減できる生活習慣の改善は下記に挙げられる5項目。
1つの生活習慣を改善するごとに、男性で14%、女性で9%もがんのリスクが低下する。複数項目の改善ならば がんリスクを激減させるわけだ。
- 喫煙 → 禁煙
- 飲酒 → 節酒
- 食事 → 減塩
- 運動 → 活動
- 肥満 → 適正体重
それぞれ具体的には、「節酒」は週にエタノール換算で150グラム程度、「減塩」は月に1回のタラコ4分の1腹程度、「活動」は、男性なら筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上、女性なら歩いたり立ったりしている時間を1日3~8時間以上とされている。「適正体重」に関しては、男性はBMI値…21~27、女性でBMI値…19~25。
特筆すべきは、生活習慣改善でのがんリスク低下が、年齢に関係なく有効であることだ。調査対象者を60歳未満と60歳以上の年齢別に分析したが、予防効果に差は無く、年齢に関係無く同様にがん予防効果があったのだ。
この国立がん研究センターによる調査は非常に大規模かつ長期間で、1995~99年に岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、茨城県、新潟県、高知県、長崎県、大阪府の10保健所管内に在住していた45~74歳のがんや循環器疾患の既往がない約8万人を対象に、2006年まで追跡調査を実施された。今まで、漠然とがん予防に効果があるとされてきた事象ではあるが、この大規模かつ長期間のデータによって科学的かつ統計的にがん予防効果が証明されたことは、健康を願う庶民にとっても僥倖と言えるだろう。