大腸がんに「幹細胞」利用の新治療法

幹細胞1個から大腸組織再生 大腸がん治療に応用も

がん手術で傷ついた大腸をも再生する技術の開発が東京医科歯科大学で成功した。

開発者は、東京医科歯科大学の渡辺守教授と中村哲也講師ら。

マウス実験では、幹細胞を体外で大量に培養する手法を用いた。マウスの大腸の上皮にある幹細胞1個を培養細胞し、傷ついた大腸に再び戻すと、大腸の傷を覆うようにくっつき正常な組織に育ったのだ。

実験で大量培養されたのは、複数の種類の大腸上皮細胞に育つことができる「体性幹細胞」。マウスの大腸上皮の細胞から「幹細胞」を取り出し、幹細胞を増やす因子をふりかけコラーゲンなどと一緒に浮遊液の中で培養した。そして、薬で腸炎を起こさせたマウスに対して、肛門から粘性のある液体と一緒に培養した「幹細胞」注入したところ、1週間で傷口にくっつき徐々に正常組織を作り出すことが確認された。さらに、6カ月後には傷が治り、懸念されたがん化も確認されなかった。「注入した大量の幹細胞が次々と上皮細胞を作り出し、組織を再生した」と結論付けられた。

この新治療法は、人間へ応用できれば、難病の潰瘍性大腸炎やクローン病の治療、大腸がん手術後に大腸が狭くなる症状の緩和などに有効な治療法となることが期待されている。

研究論文は、米科学誌ネイチャー・メディスンに12日掲載された。

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