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低温プラズマ照射は、第4のがん治療法へ

水曜日, 3月 21st, 2012 | Permalink

プラズマで悪性細胞死滅 卵巣がん治療で効果確認

正常な細胞を傷つけずにがんの悪性細胞だけを狙って死滅(アポトーシス)させる新しいがん治療法が開発された。開発したのは、名古屋大の吉川史隆教授(産婦人科学)らの研究グループ。

新しいプラズマがん治療法は、特殊な装置で発生させたプラズマを卵巣がんの細胞に照射することで、 がん細胞だけを死滅させる。がん細胞だけが自ら死ぬ「アポトーシス」という現象を引き起こすため、炎症が無いので正常な細胞への炎症=副作用も無いのだ。

通常は大気中でプラズマを発生させると高温になってしまうのだが、大気中でも低温のプラズマを発生させる装置を開発したことで新治療法に成功した。シャーレ上に培養したがん細胞にこのプラズマを照射すると、炎症によって周りの細胞を傷つけずに、がん細胞だけを死滅させることがdけいた。
 
実験では、約10分間のプラズマ照射でがん細胞の7割が死滅することを確認された。さらに正常な細胞にプラズマを照射した場合でも死滅する細胞数は少なく、副作用は殆ど無いとの結論を得た。

実験は、卵巣がんが対象だったが、卵巣がん以外のがんにも効果が期待される。

今後は、プラズマ照射によるがん細胞のアポトーシスが引き起こされる詳しい仕組みの解明されれば、現在の3大がん治療(外科手術、放射線照射、抗がん剤化学療法)に加えて、 第4のがん治療が確立される可能性がある。
 
研究論文は米科学誌アプライド・フィジックス・レターズに掲載された。

2週間で肺がんが消えた特効薬とは

月曜日, 3月 19th, 2012 | Permalink

2週間でがん細胞がほぼ消滅した肺がん治療薬

日本人のがん死亡原因の第1位は肺がん。毎年7万人近くが肺がんで命を失っている。

1980年代以降に分子生物学が発達したことで、がん細胞の増殖や転移に関係するがんに関連する遺伝子の解明が進んだ。
肺がんには、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4種類があるのだが、
2000年代初頭では、まだ肺がんは、小細胞がんと、それ以外の非小細胞がんの2つに分類することだけで、
肺がん治療法が決定されていたのだ。

その後、がん細胞の働きを抑制する新しいタイプの抗がん剤である分子標的薬が開発された。
肺がんに関する分子標的薬は、2002年にゲフィチニブ(イレッサ)、2007年にエルロチニブ(タルセバ)が保険薬として承認された。
旧来の抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃してしまうために、
治療効果よりも副作用が強く、がん細胞に対する効果が不十分な場合が多かったのが問題だった。
しかし、新開発の分子標的薬はがん細胞で活性化している特定の分子だけをターゲットにするため、
がん細胞だけに特異的に作用し、効果が高く副作用が少ないのが特徴とされた。
しかし、当初の肺がん分子標的薬は、副作用が酷く、医療訴訟にまで発展してしまったのだ。

その後、2004年に、イレッサを初めとする分子標的薬の向き不向きに関して、遺伝子内に指標があることが確定された。

日本では肺がんの70%が腺がん だが、この半数近くにEGFR遺伝子の変異が認められる。
イレッサやタルセバはEGFR(上皮成長因子受容体)という遺伝子の変異に対する薬だが、
EGFR遺伝子突然変異がある肺がん患者に対して、分子標的薬が劇的な効果があることが判明した。
著効例では、イレッサ投与後の2週間でがん細胞がほぼ消滅した例もある。

逆には、EGFR(上皮成長因子受容体)が認められない場合には、
効果が期待薄で、激しい副作用が発現する可能性が高いことから、
治療前の遺伝子検査が推奨されるようになったのだ。

イレッサは日本を含むアジア人、女性、非喫煙者の肺がん、特に腺がんに効果が高い特効薬なのだ。