Archive for 5月, 2012

肝臓がん新薬へのDNA解析

月曜日, 5月 7th, 2012 | Permalink

胆管がんは、生命に危険のある肝臓がんの一種だ。全世界の肝臓がんの10~25%を 胆管がんが占めているおり、患者が多く、新薬へのニーズは高い。

実は胆管がんは、特にアジアでは肝吸虫感染が原因で罹患することが判っている。肝吸虫が感染している鯉(コイ)や鮒(フナ)を食べることで、人間に感染するのだ。

この肝吸虫が原因の胆管がんに関して、影響を受けるDNAが解読され成果が上がった。発病に関連すると見られる15個の遺伝子に関して、 46症例でスクリーニングを行い、がん発病と関連する遺伝子変異の出現率が調べられたのだ。その結果、数個の遺伝子の体細胞変異ががんとの関連性が確認され、さらには、胆管がんに関与する変異と見られる10個の遺伝子が新たに同定された。

がん発病遺伝子が特定されることは、そのがんの特効薬となりうる分子標的薬の開発へに繋がる第一歩だ。

胆管がんへの特効薬となりうる新薬開発が待たれる。

肺がん治療に混合診療を承認

水曜日, 5月 2nd, 2012 | Permalink

非小細胞肺癌に対する重粒子線1回照射による治療が、「先進医療」として承認されたことから、保険診療との混合診療が認められることになった。

非小細胞肺癌に対する重粒子線1回照射は、放射線医学総合研究所 重粒子医科学センターで約9年間の臨床試験で実績を上げている。そして、ついに3月16日の重粒子線治療ネットワーク会議にて先進医療への移行が認められたのだ。

日本での肺がんのがん死亡者数は年々増加し、 1998年に胃がんを抜いて1位となった。肺がんの既存治療は、手術や、抗がん剤や放射線照射の組合せで行われており、早期の肺がんならば、ピンポイントの放射線治療は手術と同程度の成績が得られる。

重粒子線は放射線の一種であり、体の中の一定の深さで線量が最も強くなるようにコントロールできるのだ。さらに、集中性も優れているので、体外からの照射でも、体の表面や正常組織への影響を最小限で、深部のがん病巣だけに集中的に照射できる。

「日帰りの肺がん治療」が実現することになり、さらにその5年生存率が70%にまで高められている。

肺がん患者の肉体的・経済的負担の軽減と早期社会復帰が実現するだろう。