Archive for 3月, 2012

がんリスクが 3~5倍になる薬剤

木曜日, 3月 8th, 2012 | Permalink

睡眠薬が がん(癌)のリスク増大と関連
睡眠薬を使用している人のがんリスクが、3~5倍に高まることが、米国の研究であきらかになった。
米国スクリプスクリニック・ビタビファミリー睡眠センター Scripps Clinic Viterbi Family Sleep Center(カリフォルニア州)の Daniel Kripke博士らの研究は、平均年齢54歳の1万500人以上を追跡して、睡眠薬とがんの関連性を調査した。被験者の健康状態はさまざまで、2002~2007年に平均約2.5年間、睡眠薬の処方を受けていた。
がんリスクと関連していると指摘された睡眠薬は、下記の睡眠薬(英文表記のものは日本国内では未承認の薬)。

  • ベンゾジアゼピン系薬剤のtemazepam(Restorilなど)、
  • 非ベンゾジアゼピン系薬剤のゾルピデム(Ambien 、日本での商品名:マイスリー)
  • eszopiclone(Lunesta)
  • zaleplon(Sonata)
  • バルビツレート系薬剤、
  • 鎮静薬の抗ヒスタミン薬

研究の結果として、 1年18回量未満を処方された群では非処方群に比べて死亡リスクが3.6倍、 18~132回量の処方群では4倍以上高かった。 132回量超の処方群では非処方群の死亡リスクの5倍に達した。この相関は年齢を問わず認められたが、18~55歳の人が最も相関が高かった。ゾルピデムを服用していた4,336人では265人、鎮静薬、睡眠薬ともに服用しなかった2万3,671人では295人が死亡した。
また、最も高用量の群では食道がんやリンパ腫、肺がん、大腸がん、前立腺がんなどの発症リスクも高かった。一方、白血病、乳がん、子宮がん、膀胱がん、白血病、メラノーマのリスク増大は指摘されなかった。この関連性は既存の健康障害では説明できず、睡眠薬が衝撃的な死亡の増加と新たながんの増加に関連している と指摘された。
睡眠導入(補助)薬の処方は夜間に十分な休息を必要とする人には有用かもしれないが、常用は死亡や特定のタイプのがん(癌)の発症につながる可能性が高いことが、新しい研究で示唆された。
研究成果は睡眠補助薬と死亡リスクの関連性を示したものに過ぎず、因果関係を示すものではないため、多くの専門家はこの知見から性急に何らかの結論を下さないよう警告しているが、興味深い結果だと言える。
研究成果は、医学誌「BMJ Open」オンライン版に2月27日掲載された。

がん予防に簡単な5つの方法

水曜日, 3月 7th, 2012 | Permalink

生活習慣改善でがんリスク低下

国立がん研究センターが生活習慣とがん発生率との関連を大規模に調査したところ、生活習慣を少しでも見直すと、がんが発生するリスクが明確に低下することが証明された。

がんリスクを低減できる生活習慣の改善は下記に挙げられる5項目。
1つの生活習慣を改善するごとに、男性で14%、女性で9%もがんのリスクが低下する。複数項目の改善ならば がんリスクを激減させるわけだ。

  1. 喫煙 → 禁煙
  2. 飲酒 → 節酒
  3. 食事 → 減塩
  4. 運動 → 活動
  5. 肥満 → 適正体重

それぞれ具体的には、「節酒」は週にエタノール換算で150グラム程度、「減塩」は月に1回のタラコ4分の1腹程度、「活動」は、男性なら筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上、女性なら歩いたり立ったりしている時間を1日3~8時間以上とされている。「適正体重」に関しては、男性はBMI値…21~27、女性でBMI値…19~25。
 
特筆すべきは、生活習慣改善でのがんリスク低下が、年齢に関係なく有効であることだ。調査対象者を60歳未満と60歳以上の年齢別に分析したが、予防効果に差は無く、年齢に関係無く同様にがん予防効果があったのだ。

 
この国立がん研究センターによる調査は非常に大規模かつ長期間で、1995~99年に岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、茨城県、新潟県、高知県、長崎県、大阪府の10保健所管内に在住していた45~74歳のがんや循環器疾患の既往がない約8万人を対象に、2006年まで追跡調査を実施された。今まで、漠然とがん予防に効果があるとされてきた事象ではあるが、この大規模かつ長期間のデータによって科学的かつ統計的にがん予防効果が証明されたことは、健康を願う庶民にとっても僥倖と言えるだろう。